早稲田大学建築学科 講義「設計演習B/C」の作品アーカイブ

2014年10月24日金曜日



 私たちの「記憶」は眼に映る世界に依存するとともに、その時の感情や知覚を内包 している。
また、「想い出」はその記憶を呼び覚ますことによって生まれる。
私たちは、 自身の心の中に由来するその想い出を、他者と共有可能な状態へと導くことができる。

 あなたが今まで訪れた場所を想い起こし、その時の音や匂い、心の動揺や高揚など
感じた知覚を用いて、デフォルメ(歪み、滲み、揺らぎ、色彩、編成などの操作)を 試みて下さい。
 また、その操作が施された「想い出」に名前(タイトル)をつけることで描出される、 自分だけの「肌理」を描ききって下さい。


 「肌理」とは質感を表す言葉である一方で心くばりに対しても用いられる言葉である。
下記 プルーストの小説の中でも、名前やその音の響きがその「肌理」を引き立てる事を明示している。

 「名前というものは、さまざまな人間について、また町について-ひとつの曖昧なイメージ を提供し、
そのイメージが名前から、またその名前の華やかだったり暗かったりする音の響き から、
イメージ全体を一様に塗りつぶしているあの色彩を引き出しているのである。」
(『失われた時を求めて』第一篇、第三部「土地の名 - 名」/ プルースト)


提出物:  ドローイング(275mm × 275mm)表紙含め3枚以上 材料 :  紙質、白黒・彩色は自由。
出題:   10/08(水)  提出:   10/15(水) (13:30 時間厳守 )

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